ひとつは欲しい鉄のフライパン ~おいしいお肉の焼き方のコツ~

2012年09月24日

どうして「まずお肉に焼き色をつけて・・・・」なのか?

フライパン焼いたお肉の美味しさはお肉の水分をできるだけ逃がさないで焼けたか、逃がしてしまったかの違いで決まります。お肉の水分は、お肉の持つあらゆる旨味成分が含まれているからです。余談ですが冷凍したお肉を解凍するとき、水分が回りに出てくる事がよくありますが、その分お肉の旨味が調理する前の段階で逃げてしまっているのです。

お肉を焼き始めると、お肉の中の水分は温度があがり膨張するために、細胞の中に留まれず、どんどんお肉から出ていこうとします。従って焼き始めにできるだけ早くお肉の表面を固めて、水分の出口を塞ぐ必要があります。

お肉はご存知の通り、玉子と同じたんぱく質食品です。ゆで卵で分かるとおり、たんぱく質は熱で固まります。具体的には70度以上の温度になったとき固まり始めます。

実は冷蔵庫から出したばかりのお肉は大変冷たいのです。昔、調理場の先輩から「外国では火傷した時、冷たいお肉を水代わりに傷口に被せて冷やす事もあったほど、お肉は冷たいのだよ。」と聞いたことがあります。事実の程は別として、確かに冷蔵庫から出したばかりのお肉を広げて手の甲にのせると、とても冷たいです。こんな冷たいお肉をフライパンにのせると、フライパンの温度は一度下がります。逆にお肉の細胞の中の水分は、フライパンからの熱で膨張して外に出ようとします。

フライパンは、加熱される事で再び温度が上がりはじめ、やがてお肉の表面も70度以上になり始め中の水分が逃げづらくなってきますが、大切なのは焼き始めに一度温度が下がり、再びフライパンの温度が上がるまでの時間の長さです。この時間が長い程、水分が出ていく時間が長いのでお肉は美味しくなくなっていくのです。

従ってお肉も焼き始めにできるだけ早く表面の温度を70度、できれば80~90度以上にしてお肉の表面を水分の逃げづらいたんぱく質が固まった状態にしたいのです。

だから「お肉の焼始めにまず、表面に焼き色をつけて・・・・」と説明してあるのです。

美味しいお肉の焼き方のコツ

ステーキ意外とできていない、焼き色づけ。焼き色をつける理由はお話したとおりです。誰がやっても焼き色は、焼いているうちに放っておけば自然についてきそうですが。肝心なことがひとつ、「水分が逃げないうちに、できるだけ早く・」ができていないのです。では、その水分の逃げる時間をできるだけ短くする方法を二つ書きます。

①できたらお肉は焼く時間より1時間ぐらい早く冷蔵庫から出し、常温に近い温度にしておきます。(フライパンの温度低下を少なくします)

②生のお肉から熱を奪われても温度が下がりづらい厚手のフライパンを使用するか、ない場合は予めフライパンを十分熱して、お肉を入れた瞬間から「ジューッ」という音が途絶えないように表面に焼き色がつくまでは、できるだけ温度を下げないよう強火で焼いてください。

ここまでが旨くいったらお肉を焼くのは70%成功したといえるでしょう。