関西地方を中心にカフェを数店舗展開されているオーナー様から店舗で使用する海老トマトソースのOEM・PB商品開発の依頼がありました。
カフェのフードメニューにある海老トマトソースパスタはお店の看板商品であり、絶対的な人気を誇る商品でした。しかしこのソースは非常に手間のかかる作業でもあり、従業員の方の仕込み負担も大きいものでした。オーナー様から「この負担をなくしてあげたい」という思いやりと「今後のさらなる店舗展開に向けて看板商品の味の統一化をはかりたい」という決意を受け、開発を一緒に取り組みました。
仕込みの大変さ
単に海老トマトソースといっても多様な種類があり、クリーム系やさっぱりとしたトマト系など幅はたくさんあります。今回はその中でもオマール海老をふんだんに使用した濃厚なソースでした。仕込みで何が大変かというと海老の頭をまるごと数時間煮込み、エキスを十分に出すことです。従業員の方が鍋に付きっきりで数時間煮込みます。またオマール海老の頭の中には濃厚な旨味が多く含まれているためそれがこのソースの生命線なのです。そうして取った出汁には当然多くの殻が含まれます。それを数回に渡って濾す作業が入り、そのあとようやくトマトペーストなどと合わせてソースにするのです。
食品工場で思い描いた商品がPB商品化できない理由
上記のような工程をし、商品化できるような食品工場はなかなか存在しません。その大きな理由は2つあります。第一に工場は決まった製造ラインや製造機械に合わせて製造するため、「設備」に「商品」を適合せざるを得ないからです。よほど製造ロットが大きくない限り特別な製造ラインは組めないのです。第二に工場は仕入負担軽減のため材料は極力少なくしたいがために自分たちが既にもっている材料の範囲で味の再現をしようとするからです。味は非常に複雑なため違う材料で味を再現する事は困難なのです。
「工場」ではありません。「調理場」です
私たちは製造現場を「工場」ではなく「調理場」と呼んでいます。上記のような作業工程を大量生産現場に転換し、製造工程を組みました。
お店の現場と同じようにオマール海老の頭を鍋で約2時間煮込み、じっくりエキスを抽出します。釜の機械の中にある羽根だけでは十分に混ざらないため人の手も使って出汁を取っていきます。さらにその後、海老の頭に残ったミソや旨味を手でひとつずつ取り、最後の最後まで旨味を無駄にしません。その後シノワと呼ばれるこし器で海老の殻を取り除き、別の釜でトマトペーストや調味料などと混ぜ合わせて完成です。これによりオーナー様も驚かれるような再現性と品質を実現する事ができました。「他の業者にも何社か依頼したけど、無理だった。これができるのは御社だけだよ」という有り難いお言葉を頂戴しました。価格に関してもガス代や人件費などトータルで考えると現場で作るのと大差ない所で仕上がり、非常に喜んで頂きました。
PB商品化の効果
今の飲食店には目玉となる商品が必要不可欠です。他のお店との差別化ができる商品がお店の運命を決めると言っても過言ではないのではないでしょうか。
しかしながらその商品が複雑化すればするほど現場でのオペレーションにはブレが発生し、それを防ぐために単一化された材料を使用したり、ありふれているソースを使用するため同じような味になってしまうという悪循環が起こります。
この商品は絶対守りたいという商品があれば、多くの負担軽減の点からぜひともPB商品化をお勧めします。そしてその際には光熱費、人件費など数字的な負担の軽減もそうですが、何より従業員の方の作業負担や気持ちの面でのメンタル要素にも影響する事を考えて頂きたいと思います。
現場で作る商品とOEM開発・PB商品化する商品とを見極め、お客様にとって一番良い形で商品提供できることが最も大切なことだと考えています。
東海地方でカフェを数店舗展開されているお客様からお店で使用するベシャメルソース(ホワイトソース)のOEM開発・PB商品の依頼がありました。カフェのランチタイム及びディナータイムで提供するフードのメニューの中の「グラタン」や「パスタ」で使用するとのことで、【美味しくて現場で使い勝手のいいソース】をご希望でした。
ベシャメルソースの原材料は・・・
一般的に業務用・市販用問わず、ベシャメルソースは生乳をあまり使わない傾向があります。生乳を使うと価格が高くなるため、代わりに「乳清たんぱく」や「脱脂粉乳」などを使うのです。飲食店ではそんな業務用を避けて、調理場で牛乳とバター小麦粉を混ぜて一から作る場合もありますが、特にこの作業は時間と手間が非常にかかります。そのため結局は流通しているソースに頼り、少し味を加えて調整するのがほとんどのケースです。
味と品質へのこだわり
私たちは本当に美味しいものを提供したいという想いがあるためベシャメルソースでも生乳を使い、調理場でつくる味をそのままに製造しています。
また、製造する釜においても、一度に数トン単位でできるような釜でベシャメルソースをつくってしまうと釜の淵に“あたり”ができ、ソースが焦げ付いてしまいます。
どんなに多くの量を作る場合においても一度に200kg未満しか作れない釜で製造するのです。その方がソースに熱が伝わりやすく、焦げ付きもないため美味しいソースができあがります。これは調理場と全く同じ考え方ですよね。
現場での使用方法を考え製造
そのようにして商品第一に考え製造したベシャメルソースに今回はチーズを少し加えて特徴を持たせました。また一般流通をしているものは希釈タイプもありますが、現場でそのまま使いやすいようストレートタイプにし、包装形態もビニールの袋かつ500gというサイズで湯煎しやすいように対応しました。通年のメニューでご使用頂いており、特に冬のシーズンは重宝して頂いています。
ハンバーグ、パスタなどを提供されているカフェ・喫茶店の方、仕込みなどで悩んでいませんか?オリジナルのOEM・PB商品で悩みを解決しましょう!
オリジナルで作るまでにはいかないけど、美味しいベシャメルが欲しいという方はNB商品もご用意していますのでご参考になさって下さい。
弊社がこれまで手掛けたOEM・PB商品の
お取引事例を追加しました。
全国展開されている大手飲食店様のご依頼でフェアメニューに使用する激辛ソースのOEM開発・PB商品依頼がありました。
激辛というご指定のため迷わずハバネロを使用し、刺激のあるソースに仕上げました。その一方で単なる辛いだけのソースではなく、トマトやリンゴ、昆布だしを材料として使い、旨味も感じられるように工夫したことが最大のポイントでした。
私たちはお客様のニーズを満たしながら、試作段階でも商品の完成イメージまで考えてお作りします。美味しい商品をご提供したいという想いがあるからこそ、OEMの委託開発段階においても妥協することなく、ちょっとした材料における工夫が味に大きく影響するのです。
今回は期間限定どんぶりのソースとしてご活用頂き、一部のお客様から熱狂的に迎えられたと聞いております。特徴的なソース・たれのPB開発ご要望もどんどん承っておりますので、まずはお気軽にご相談下さい。
老舗飲食店ブランドの会社様から通販用オリジナルハンバーグのOEM・PB商品依頼がありました。以前は飲食店を営んでおり、現在は通販やお弁当事業などを展開されている会社様です。これまでも通販でハンバーグを販売されてきたようでしたが、プレミアム感の強い高級ハンバーグをオリジナルで作りたいという事で開発する事になりました。
ハンバーグは当然の事ながら肉の産地によって価格も品質も大きく異なります。今回は牛と豚の割合を6:4とし、牛の部分には「和牛」を、豚の部分には「国産豚」を使用してつくることになりました。
弊社のハンバーグは基本的には「生ハンバーグ」でOEM・PB商品を承っております。それは完全焼成でパックしてしまうと肉の本来の旨味がどうしても抜け落ちてしまい、味のレベルが落ちてしまうからなのです。焼く部分はお店や家庭で調理して頂き、最高の状態でお召し上がり頂きたいという想いがあります。
ただし通販業者様においては「焼き目付きハンバーグ」という形でハンバーグの表面にだけ焼き目をつけて、パッキングする方式を重宝頂いております。表面にだけ焼き目をつけることで、肉の旨味をとじ込める事ができます。またお客様がお召し上がりいただく際には電子レンジや湯煎で温めて頂くだけで、外はカリッと、中はふっくらとした状態で仕上げることができるからです。
今回のケースにおきましては後者の方式で開発し、3度ほど試作を重ねてご納得のいく商品が出来上がりました。自社通販での販売だけでなく、百貨店様を通じての販売など実績を残して頂いております。
大手外食チェーン店様から原材料に中国産を使用しないトマトソースのOEM・PB商品の開発依頼がありました。以前から月間数トン単位でトマトソースをご使用頂いているお客様でしたが、この度のリニューアルで中国産排除をご希望され、さらになるべく現状価格を維持しての開発を目指し一緒に取り組ませて頂きました。
食品において原材料に中国産を多く使用されている要因としては価格面が大きく影響しています。食材によっては国産と比べて10分の1になるのものもあり、手頃な価格での開発ができるのです。最近は食の安全という観点もあり、国産原料を使用してほしいという要望も増えてきました。味、価格、イメージなど、お客様がどの要素を重要視するかによって柔軟に対応できるかどうかが私たち食品業者にとってより大事になってきています。
さて、この商品の原材料で中国産を使用していたのは主に3つあり、「トマトペースト」「にんにく」「玉葱」です。このうち原材料比率の高いトマトペーストに関しては、幸いトマトを現地から調達できるルートがあったためチリ産とポルトガル産に変更をすることで価格維持も可能でした。また玉葱も国産のルートがあったため代替え対応ができたのです。しかしながらニンニクだけは価格維持をしながら中国産排除をすることが困難と分かります。
実は世界のニンニクの生産量のうち約8割が中国産なのです。そのため圧倒的な価格有利性を持ち、別の産地にして価格を維持することは非常に壁が高いのです。
悩んだ私たちは中国産以外でニンニクを安く手に入るルートを片っ端から探しました。また、梱包する包材類や一度に作る生産量の調整など原材料費以外の部分で徹底的にコスト削減ができないかを考え、商品価格に転嫁しました。さらには現状のトマトソースの濃縮タイプを新たに開発し、現場で希釈して使用する方法を取り入れた商品を提案するなどあらゆる手段を考えてなんとか実現できるように取り組みました。
結果としてニンニクは青森県産のきざみニンニクを使用し、価格もほとんど変更することなく商品が出来上がりました。
OEM・PB商品の開発はお客様の立場に立って考えるのが一番大事だと考えます。お客様の要望になんとか応えたいと知恵を絞って取り組んだ例です。
大手食品通販サイト様の依頼でラーメンに使用する「肉味噌」のOEM・PB商品開発依頼がありました。
肉味噌はラーメン1杯に対して少量にも関わらず、全体への味の影響が大きく、材料において重要な役割を果たします。ただしお店で仕込むとなると非常に時間もかかり、面倒な作業になりがちな食材とも言えます。
先方様のご要望は「保存料・合成着色料無添加、調味料(アミノ酸)無添加、コストもなるべく抑えたい」という事でした。弊社では冷凍商品において保存料・合成着色料は無添加でもお作りしております。
また調味料もご要望に応じて化学調味料を使わないなど、柔軟に対応製造をしております。そのため、旨味を感じることのできる美味しい商品を作り出すために鶏肉を煮込んだ時に出るだし汁を使用し、あえて野菜を工場内でカットをするなどして肉味噌の試作品開発を行いました。ニンニクを効かせ、香りづけに胡麻油も使用し、味をととのえました。
工場というよりもレストランの厨房のように商品を作りあげていきます。その点をお客様には非常に評価して頂きました。
一般的に食品工場の世界は「調理製品」をつくるというよりは「工業製品」をつくるような仕組みになってしまっています。そのため前述の工程においても肉のだし汁を捨ててしまったり、既に旨味が落ちたボイル済の肉を使用したりするケースが多く存在します。野菜にしても殺菌処理をされたカット野菜を使用する例が多いのです。
弊社工場ではそんな工場の常識や縛りに反し、工場というより「お客様の厨房」を目指して満足頂けるPB商品を開発しています。
この度、弊社ホームページをリニューアルいたしました。
「教育の一環として学校オリジナルのカレーとハヤシを開発したい」
相原高等学校様よりご依頼を受け、PB商品・OEM開発に着手しました。
相原高校は全国でも珍しい農業系の学科と商業系の学科を併設する専門学校です。
今回は農業系・畜産科の先生から直接の依頼でした。
学校教育の一環として何か形に残るものをつくりたい。
そして文化祭で実際に販売できるものにしたい。
と考えた時にレトルトカレーがいいのではないかと考えられたそうです。
もちろん弊社で開発が可能のため、打ち合わせを進める事になりました。
しかし、ひとつ重要な前提条件がありました。それは・・・
「生徒達が育ててきた牛・豚を使用して商品化させること」
畜産科では実際に生徒達が授業・日常生活の中で牛・豚を育てています。その実際に育ててきた牛と豚の肉を具材として使用し、レトルトカレーをつくるというものでした。
弊社ではお取引様から直接具材の供給をして頂き、商品を開発・製造することもあります。
どうしてもお取引様にしか手に入らない材料や価格面で供給して頂く方がコストを抑えられる場合にはそのような対応をしております。
しかしながら、今回のように「自分たちが育て上げてきた肉を使用してつくってほしい」という依頼は初めての試みでした。しかもそれは生徒たちが愛情を持って育て上げてきた牛と豚の大事なお肉です。
自ずと開発にも力が入りました。その後の商談でカレーとハヤシの2商品を開発する事になり、具体的なカレーとハヤシの味イメージと目指していきたい商品の方向性(肉の大きさ・価格帯など)を明確にしていきました。
そしてカレーとハヤシ、それぞれ2品ずつ試作品をつくり、生徒たちが授業の中で味見をしてどちらが美味しかったか投票します。それを繰り返すこと3回。ついに相原高校オリジナルカレーとハヤシが完成しました。パッケージの箱も生徒達がデザインをし、温かみのあるオリジナルパッケージが出来上がりました。
その年の文化祭では製造した約5000個を2日間で完売し、この開発プロジェクトも大盛況のうちに終わりました。生徒達の思いがこのようにして形になり、そこに少しでも関われた事は弊社にとっても大変な喜びでした。
2014年6月~2015年5月まで全国3か所で開催された「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展」のオリジナルグッズとして弊社のカレーを採用頂きました。
お客様からは、その名の通り「華麗(カレー)なる」という所からレトルトカレーをお土産で売りたいという事で、数あるレトルトカレーを食べた中で弊社のカレーが一番美味しかったのでオファーをさせて頂いたとのお言葉を頂戴しました。
当初は完全オリジナルカレーとして新しい味を作ろうという話もありましたが、開催時期が迫っていた事はもちろん、弊社のカレーが一番の理想の味ということでそのまま弊社商品をご採用頂き、パッケージを変更してPB商品として発売しました。
大手メーカーになりますと、他社が販売するための商品としての自社商品提供はほとんどしていないのが現状です。それが例え異なるパッケージにしてもそうです。
弊社は味を気に入って頂けるお客様がいれば、パッケージを変えて販売して頂く事はありがたい事であるという方針のもと、そのようなお声があれば基本的には自社商品の提供もさせて頂いております。
今回の例においてはパッケージ箱を主催者様の方でご用意頂き、工場で梱包をして出荷を致しました。パッケージ箱はジャポニスム展の目玉であるモネのラ・ジャポネーズという作品が大きく描かれ、非常に気品のある商品に仕上がりました。主催者からも喜びの声を頂き、また「華麗」と「カレー」の言葉遊び企画として話題となり、イベントにお越しの来場者様からも好評だったそうです。
全国展開されているチェーン店のお客様から
「他店とは差別化したプレミアム感のあるミートソースを」というご依頼を受け、
肉の粒が大きく食感豊かなラグーソースのOEM開発・PB商品を提案し、採用頂きました。
「ラグーソース」とはイタリア料理で挽肉などを煮込んだソースの事を指します。
最近では挽肉だけでなく野菜や魚介類でもこの名前が使われる事が増え、タコやイカのラグーソースというメニューも提供されるようになりました。
このラグーソースは定番のミートソースに特徴を加えるため、赤ワインを贅沢に使用して味をととのえて完成しました。お客様からも大変評判が良く最初はフェアメニューだったのが次のシーズンにはグランドメニューに採用されたほど、好評を得た商品でした。
しかしながら1点難題が生じました。
このラグーソースは挽肉の1粒の大きさはなんと12mmを使用し、しっかりした肉粒感を出していました。
肉屋から仕入れる牛肉の挽き材(挽肉にしか使えないような脂肪や筋の除去などで出来るコマ肉の総称)ですと、どうしても肉を挽く時の機械の網目が大きすぎて「軟骨」が混入してしまいました。そして大きな挽肉の粒と粒の間に入り込んで見えない小さな骨までも発見されてしまったのです。
その時点で販売中止も検討されましたが、人気メニューであったため必死に解決策を講じました。
工場では最後の砦となる金属探知機では軟骨や骨は検出されないため、使用する全ての挽肉を人の手の細かな作業で完全に除去することで解決致しました。
粒のひとつひとつを丁寧に手で確認し、間に入り込んだ軟骨や骨がないかを探していきます。当然肉は冷凍になるギリギリの温度のため、数時間をかけて手の感覚がなくなるまで軟骨や骨を探しました。
ひとつの難題をなんとか解決できないかと考え、お客様の事を考えて行動しました。
そして今は原材料価格がはるかに高い正肉(骨や余分な脂肪などを取り除いた食用の肉)を使うことで安全な商品となりました。
効率よりも安全、利益よりも安心、供給者責任を痛感した事例です。