【福島県の飲食店様】通販用・テイクアウト用のオリジナルカレーPB委託製造依頼

スパイスカレー

 コロナ禍で飲食店は新たな販売経路を模索しています。
既存のイートインだけでなく、テイクアウト、デリバリー、自社サイト・ポータルサイトを通じての直販とさまざまな販売経路を利用しながらのDX戦略が必須な時代となりました。
 その中で福島県の飲食店様からご自分のお店で提供されていらっしゃる
スパイスカレーのPB委託製造依頼がありました。通販で新たに販売すると共にフードトラックでも販売して両方で使用できるカレーを作ってほしいというご依頼でございました。

カレーは香りが命

 近年、カレーのカテゴリとして新しく登場している「スパイスカレー」
これは小麦粉で粘度をつける従来のカレーとは違い、スパイスの香りを生かしてつくるカレーです。お店で提供するには比較的安易につくれるのですが、
「工場で大量に製造する」となると話は違ってきます。それは以下のような点が既存の工場だと困難であるからです。

・工程手順やレトルト殺菌によって香りが飛ぶ
・テンパリング(油でホールスパイスを炒め香りを移すこと)の作業が難しい

 工場では大量カレーを仕込んで製造するため、飲食店の手鍋で繰り広げられるような詳細な手順を踏むことは困難です。そのため「スパイスを入れて泡がこのような状態になったら鶏ガラを投入」「玉ねぎの色がだいたいこれぐらいの色になったらトマトペーストを入れる」など調理場ではよくある言語や手順は工場では通用しません。

 スパイスを投入するタイミングは工場の都合であったり、手順も工場の設備の都合で変わることがあり、味にも影響したりします。さらにレトルトの商品になると殺菌温度が120℃前後になるためスパイスの香りが確実に飛んでしまい、
なかなか思うような香りが出ない商品になってしまいます。

 またテンパリングの作業もなかなか困難です。飲食店の手鍋では簡単な事なのですが、食品工場ですと「直火釜」ではなく「蒸気釜」を採用しているところが多いのです。そのため火力が弱く、テンパリング自体ができない所も多いのが現状です。さらには工場の設備だとテンパリングだけを別の釜で用意し、2つの釜を確保することになるため生産の都合上厳しいといった問題も出てきます。

以上のような理由で、飲食店の味を工場での製品に落とし込むことは難しい上、
さらにスパイスカレーはハードルがグッとあがるのが現況です。

困難を乗り越えて

 上記の状況下で今回の依頼ではスパイスの香りを生かすためレトルトではなく冷凍でお作りをしました。また手順や工程も詳細にヒアリングをさせていただき、なるべく普段行っている手順通りに材料の投入や状況の移管を行いました。

 さらにはテンパリングの部分においても弊社では小型ですが直火釜を設備しているためこの作業工程部分だけ直火釜を利用してうまくホールスパイスの香りを移すことに成功しました。そして辛さの調整を2度ほどさせていただき、試作品3回目でご納得いただける味に仕上がりました。

 今回は通販用兼フードトラック需要ということで200gタイプの個食で充填をさせていただき、お客様にも満足いただける商品が出来上がりました。通販のご注文の方も非常に好調のようで定期的に発注をいただき我々も誇りをもって製造をさせていただいております。

 最近は上記のお客様のように個食での委託製造依頼が多いです。現場の味を再現したく、外販に迷われている方もまずはご相談いただければと思います。

【イタリアン専門卸業者様】お客様である飲食店向けのオリジナルパスタソースのPB製造依頼

 全国3,000店以上のイタリア料理店に食材を卸している卸業者様からパスタソースの委託製造依頼がありました。卸先のお客様向けに高品質のパスタソース類をつくり、飲食店様の助けになりたいというご要望でございました。

 特にポイントは「高品質」という点です。お客様にはミシュランの星付きレストランをはじめ、こだわりの飲食店様達がいらっしゃいます。その方々にもご満足いただけるもの、かつその商品を活用して自分たちの味にアレンジしやすいものをつくる必要がありました。

店で仕込むように

 ご依頼の品は全部で4種類。上記のようなお客様向けの商品のため原材料にもこだわります。特殊な原材料はご依頼主である卸業者様から供給いただいて開発・製造を致しました。またお店の方が自分で最後の味調整できるよう100%完成品ではなく、90%ほどの仕上がりにする必要がありました。
 以前の記事でもお伝えしておりますが、飲食店の現場では「人件費」「仕込み時間」は削減したい一方で「妥協」「適当」なものは出したくないのが本音です。そんな方々にも罪悪感がなく使用してもらえるものにするのが私たちの使命でもありました。

 4品とも非常にこだわりましたが、特に「ボロネーゼソース」と「ジェノベーゼソース」が最後まで苦労しました。

 まず前者のボロネーゼソースの難点は挽肉の大きさとソースの詰め具合です。食品工場の釜には先端に羽のようなものがついた攪拌機がついているのが一般的です。弊社の釜にもついておりますが、これ常に回してしまうとボロネーゼの肉粒がほぐれてしまい、仕上がりの肉粒感が弱くなってしまいます。そのため今回は攪拌機を回さずに、挽肉がなるべくほぐれないように「手」で適度にかき混ぜながら火を入れていきました。さらには釜の底や淵にあえて肉を当てながら火を入れることで焼目を少しつけながらの仕上がりにしました。

 またソースの詰め具合に関しても1時間以上の水分を飛ばしながら製造をする工程を組みました。通常のソース工場ではホールトマトを1、2時間煮込む工程はやりません。ペースト専用工場やブイヨン専用工場では行われるかもしれませんが、時間と手間がかかり稼働率を重視する工場現場では向かないからです。代わりにトマトペーストを使用し、それに水で調整することで疑似的に詰まった状態をつくります。もちろんそれでも似たものができるのですが、やはり時間をかけたものと疑似的なものを比較すると違いがあり、きっと今回の利用者であるイタリアンのオーナー方は納得はしないでしょう。我々はそこにもこだわることでなるべくお店で仕込むような手順を再現することに挑戦し、卸業者様も納得のできあがりになりました。

 後者のジェノベーゼソースについても難点がありました。それはバジルのミキサー具合と色の問題です。

 バジルも新鮮なものを供給いただくのですが、その時によってのバジルの状態が違うため葉が元気なものと弱いものの個体差が非常に敏感に出てきます。それにより本来30秒ミキサーをかければ理想的な砕け具合になるはずが、元気のいい葉が多いと30秒ミキサーをかけても砕け具合がまだ甘い箇所も出てきます。さらには時間が経過すればするほど、バジルの色が変化しやすくなり、黒く変色してしまいます。

 ミキサーにはバジルを少量ずつ入れてかけ、その葉の状態を目視で確認しながらきめ細かく対応するように調整致しました。さらには変色を防ぐために前日から一定温度に保った部屋で寝かせたり、茎の部分を手で除きながら葉の部分のみを使用したり、最小限の火入れをすることで最後の変色を防いだりと丁寧に丁寧にバジルを扱いました。
 その結果、業務用のほとんどのバジルペーストに着色料が入ってあざやかな色を出している商品が多い中、それとは一線を画す、無添加の色鮮やかなジェノベーゼソースが出来上がりました。

我々にしかできない商品を目指して

 無事に4種類のパスタソースが完成し、卸業者様、さらにはその先のお客様にも喜んでいただいており、利用者の飲食店様からリピート注文を多くいただいているようです。

 弊社にはありがたいことに日々上記のようなお問合せが数多くございます。有名な一流シェフの方、地域で代々受け継がれる洋食店オーナーの方、新しく店舗を出店される方など、そのご依頼と内容はさまざまです。
 我々のできる範囲のことは知恵を絞ってご要望に応えることが私たちの喜びでもあります。PBでオリジナル商品をつくりたいという希望の方はぜひまずはご相談くださいませ。